慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断・治療
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
タバコなどの有害な物質を長期間吸い込むことによって、空気の通り道である気管支や酸素の交換を行う肺胞などに障害が生じる病気です。
中高年以降に、息切れや長く続く咳・痰などの症状が出てきます。
また、受動喫煙によっても起こる場合もあります。
さらに、喫煙以外では大気汚染(自動車の排気ガス・黄砂などのPM2.5)職業上の粉塵、化学物質(蒸気・煙)も原因になります。
ダメージを受けた肺の機能は元に戻ることはありません。また、COPDがあると肺癌のリスクが高くなるので予防することが重要です。
主な症状
息切れ
坂道や階段を上る時など、体を動かしたときに息切れを感じます。
病気が進行するにつれ、平らな道でも息切れを感じるようになり、やがて安静にしていても息切れを感じるようになります。
息切れがあったとしても、無意識に日常生活の活動に制限をかけてしまい、息切れの症状に気づかない方も多いです。
咳と痰
咳と痰が長く続きます。
COPDだけにみられる症状ではないため、「風邪のせい」とか「歳のせい」と見過ごされがちです。
喘鳴
人によっては風邪をひいたとき、運動をしたときにゼイゼイ・ヒュ―ヒューという呼吸音がすることもあります。
口すぼめ呼吸
身体を動かして息切れを感じたとき、意識的に口をすぼめる呼吸をします。
ビア樽状の胸部
胸の前後の幅が増大し、上体が樽のような形状となります。
体重減少
動くと呼吸が苦しいいために食事が食べられない、あるいは動かないためにおなかが空かないなどで食事量が減ります。
検査
呼吸機能検査
スパイロメーターという肺活量などを測定する検査で、肺にどれだけ多くの空気を吸い込むことができ、どれだけ大量にすばやく吐き出せるか測定します。
COPDの診断に最も重要な検査です。(所要時間5分)
胸部レントゲン
レントゲンにCOPDの所見が現れるのはかなり進行してからとなります。
COPDの診断というよりは、他に病気がないか診断するための検査で、長期に咳や痰が出る方は他の病気の可能性も考えられますので、COPDと見分ける必要があります。
心電図
不整脈の有無や肺の機能に由来する波形などの変化を調べ、COPDのせいで心臓に負担がかかっていないか検査します。
血液検査
COPDの症状である咳・痰・息切れが、呼吸器の感染症で起こっているかどうかが分かります。
また、併存する病気はないか、全身状態を把握するために検査することがあります。
パルスオキシメーター(経皮動脈酸素飽和度)
簡易に動脈血中の酸素の量を測定します。
正常 96%~98%
治療
禁煙
喫煙を続けるとCOPDが進行してしまいます。
COPDに対する最も重要な治療は禁煙です。
みと南ヶ丘病院では保険診療による禁煙治療を行っております。
医師のアドバイスを受けながら禁煙することができます。
診察日 【毎週】 月・火・金曜日
担当医 佐藤駿吾
※禁煙治療のご希望ある方は、必ず事前に電話にて問い合わせしてからご来院下さい。
薬物療法
各種吸入薬、ステロイド剤、抗菌薬を使用して症状を管理します。急激な悪化を抑制したり、再燃時の重症化の予防を目指します。
酸素療法
酸素飽和度が低い方は、酸素療法が有効な場合もあります。
各種予防接種
COPDの急性増悪の頻度を減少させるため、インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンが一般的に進められています。
・インフルエンザワクチンは毎年
・肺炎球菌ワクチンは5年毎 (予約制)
※水戸市では高齢者肺炎球菌予防接種費用の一部を補助しています。詳しくは水戸市のホームページをご覧ください。
運動療法
呼吸困難の症状から、動くことがおっくうになり運動不足になりがちです。運動機能が低下すると、呼吸困難がさらに悪化して悪循環になってしまいます。
下肢の筋力トレーニングやウォ―キングなどの有酸素運動が有効です。運動療法によって息切れの症状が軽減し、日常生活に必要な基本的動作が楽にできる効果が期待されます。
医師に相談しながら無理のない範囲で行いましょう。
食事療法
やせ型の方は体重が減らないようきちんと食事を摂りましょう。
肥満の方は体重が過剰になると、内臓脂肪が横隔膜を圧迫して呼吸の効率が悪くなり、息が苦しくなってしまいます。
標準な体重に戻すために食事の見直しが必要です。
予防
発症前の予防
- タバコを吸わない
- 受動喫煙を受けない
- 有害物質を吸う環境を避ける
発症後の増悪予防
- 禁煙の継続
- 手洗いうがいなど、感染予防対策の徹底
- 薬物療法の継続
- バランスの良い食事と運動
症状の急激な悪化で命に関わることがあります。
普段から増悪を起こさない対策が重要です。