認知症の治療(アルツハイマー病など)
認知症とは
認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで記憶や判断力などの障害がおこり、普通の日常生活・社会生活が困難になり営めない状態」をいいます。
認知症の原因としてはアルツハイマー病が最も多いとされますが、様々な疾患が認知症の原因になりえます。特に、中枢神経系に病巣をもつ次の疾患が代表的です。
アルツハイマー型認知症
脳の神経細胞が減って脳が小さく萎縮してしまう。
脳血管性認知症
脳の血管が詰まったり破れたりして、その部分の脳の働きが悪くなる。
レビー小体型認知症
異常な構造物(レビー小体)が大脳皮質に溜まってしまう。
前頭側頭型認知症
脳の前頭葉や側頭葉が萎縮し、人格や行動・言葉に変化がみられる。
うつ病の仮性認知症
うつ病の一つで認知症ではありません。高齢者のうつ病にしばしば認められる状態で、うつ病症状により注意・集中力・判断力・記憶力が低下し一見認知症のように見える状態
薬物起因性認知症
飲んでいるお薬の影響により症状が現れる。
認知症の症状
もの忘れがひどい
- 同じことを何度も言う
- 知っているはずの人の名前を忘れる
- 置き忘れやしまい忘れが多くいつも探し物をしている
- 少し前のことや聞いたことを忘れる
- 財布・通帳・衣類を盗まれたと言う
判断・理解力が衰える
- 料理・計算・片づけ・運転などのミスが多くなった
- 新しいことが覚えられない
- 話のつじつまが合わない
- テレビ番組の内容が理解できなくなった
場所・時間がわからない
- 約束を忘れて日時や場所を間違えるようになった
- 慣れた道を迷うことがある
人柄が変わる
- ささいなことで怒りっぽくなった
- 頑固になった
- 周りへの気づかいがなくなった
- 自分の失敗を人のせいにする
不安感が強い
- ひとりになるとこわがったり寂しがったりする
- 外出時 持ち物を何度も確かめる
意欲がなくなる
- 化粧や買い物をしなくなった
- 身だしなみを気にしなくなった
- 以前は熱中したことに興味を示さなくなった
- ふさぎ込んで何をするのも嫌がる
レビー小体認知症にみられる特徴的な症状
幻覚症状
- 幻視 見えないはずの人や動物が見える
- 幻聴 聞こえないはずの音が聞こえる
運動機能の障害
- 歩行障害
- 手足の震え・筋肉の硬直・動作が遅くなる
症状の変動がある
- 認知機能が良くなったり悪くなったりする
認知症の検査
問診
患者様に症状や病歴についてお尋ねし、本人の記憶力や話の理解力など現在の認知能力や心の状態をみます。
認知症が疑われ、本人の話だけでは正確な状態を把握するのが難しい場合は、いつごろからどんな症状があるのか家族にお尋ねします。
長谷川式認知症簡易評価スケール
簡単な質問(10分程度)をおこない、その答えでどのくらい認知機能が低下しているか判断します。
身体検査
- 尿検査
- 血液検査
- 心電図検査
- 胸部レントゲン検査
認知症を引き起こす病気を発症していないか、現在の健康状態を調べるために検査する場合があります。
画像検査
- CT検査
- MRI検査
脳の実際の形を調べることで脳の萎縮の状態を把握するとともに、脳梗塞や脳腫瘍などの病変がないかの検査
認知症の治療
薬物療法
症状の進行を抑えることをねらいとした認知機能改善薬によるものと、行動・心理症状の軽減するための向精神薬や睡眠薬によるものがあります。
認知症の予防
認知症の「予防」とは、認知症にならないという意味ではなく、「認知症になるのを遅らせる」「認知症になっても進行を緩やかにする」という意味があります。
認知症の発症や進行は、生活習慣に密接な関わりがあると言われます。
- 運動や食事などの生活習慣を整えましょう。
- 人と交流しましょう。
「あれ、おかしいな?」と思ったら相談を
認知症は徐々に進行する病気ですが、早めに症状にあった「治療」を始めれば、進行がゆるやかになることがあり、穏やかに暮らしていくことができます。
「おゃ?」と思ったら当院医師もしくは水戸市の相談窓口(水戸市高齢者支援センター)にご相談下さい。