メニュー

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症(高脂血症)とは

血液中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いまたは、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態をいいます。

原発性脂質異常症

遺伝によって起こる。(家族性コレステロール血症が代表的)

二次性脂質異常症

他の病気や薬が原因で起こる。

生活習慣によって引き起こす

乱れた生活習慣(過食・高脂肪食などの食生活、運動不足、飲酒、喫煙)から発生します。いわゆる生活習慣病と言われています。約8割の方がこれによるものです。

放置してしまうと?

増えた脂質が血管の内側に溜まって動脈硬化が進み、狭心症・心筋梗塞・脳出血・脳梗塞などの命に関わる疾患の原因になります。

症状

自覚症状がほとんどないため放置してしまうことが多いです。

定期的に検査を受けて、予防・早期発見に努めることが大切です。

黄色腫(眼瞼黄色腫など)脂肪成分を多く含む組織が黄色いかたまりを作って皮膚に現れることが稀にあります。

検査

問診

  • 家族に脂質異常症の方はいるか
  • 食事・運動・喫煙・飲酒などの生活習慣
  • ストレスの有無

身長・体重

肥満が原因の場合肥満自体を改善しないとよくならないこともあります

あなたのBMI(肥満度・体格指数)をもとめてみましょう

BMI(kg/m2)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)体重59.7kg 身長164.5cm
59.7÷1.645÷1.645=22.06
四捨五入して22.1
BMIは22.1
※BMIの基準値は18.5~

血液検査

  • LDLコレステロール
  • HDLコレステロール
  • 中性脂肪

脂質異常症の治療薬では効果の判定のためだけでなく副作用(横紋筋融解症など)の確認のため定期的に血液検査を受けることが重要です。

LDLコレステロール 140mg/dl以上 高コレステロール血症
HDLコレステロール 40mg/dl未満 低コレステロール血症
中性脂肪 150mg/dl以上 高中性脂肪血症
診断基準(空腹時採血)
  • 血圧測定 血圧が高くなると動脈硬化が悪化してしまうので、血圧のコントロールが重要になります。
  • 心電図 心臓に異常はないか、動脈硬化が進んでいないかをみます。
  • 血圧脈波 両手・両足の4箇所に血圧計を巻いて、手足の動脈硬化や血管の詰まりの程度をみます。(所要時間:10分程度)

6ヶ月毎の定期検査

当院では合併症やその他の病気の早期発見のため、6ヶ月毎に胸部レントゲン・心電図・血液検査を実施しております。

治療

治療は基本的には食事療法・運動療法を中心とした生活習慣の改善から始めます。

生活習慣の改善を続けていても脂質管理が不十分な場合、薬物療法を併用して行います。

薬物療法を始めた後も生活習慣の改善はベースとして継続することが重要です。


エネルギー摂取量について

脂質異常症の方は必要なエネルギー以上の食事を摂っていることが多いです。自分に合った1日のエネルギー摂取量を確認しましょう。

①標準体重を求める

身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)

例:身長164.5cmの場合
⇒1.645(m)×1.645(m)×22=59.5(kg)
標準体重は59.5kg

②エネルギー摂取量を求める

標準体重(kg)×身体活動量(kcal)=エネルギー摂取量

身体活動量:体重1kg当たりの必要エネルギー
軽い(デスクワークが主・主婦) 25~30kcal
ふつう(立ち仕事が多い人) 30~35kcal
重い(力仕事が多い人) 35kcal〜

例:標準体重は59.5kg・立ち仕事が多い人の場合
⇒59.5(kg)×30(kcal)=1785kcal 
⇒1日エネルギー摂取量は1785kcal

メタボリックシンドロームとは

内臓脂肪症候群のことで、内臓脂肪の蓄積に加えて「高血圧」・「脂質異常」・「高血糖」を2つ以上当てはまる状態を言います。

当てはまるか確認してみましょう。

メタボリックシンドローム判定

先ず腹囲が一定以上であること(男性 85cm以上 ・ 女性90cm以上)※おへその高さで測る。

そして、下記の項目が2つ以上当てはまる人は メタボリック、1つ当てはまる人はメタボリック予備軍です。

  1. 血圧高値
    最高血圧130mmHg以上
    または最低血圧85mmHg以上
  2. 脂質異常
    中性脂肪150mg/dl以上
    またはHDLコレステロール値40mg/dl未満
  3. 高血糖
    空腹時血糖値110mg/dl以上
    またはヘモグロビンA1c5.5以上

食事療法

食事のポイント
  1. コレステロールの多い食品を避けましょう
    ・卵
    ・乳製品(チーズ・バター・生クリーム)
    ・魚卵
    ・チョコレートなど

  2. 動物性脂肪の摂取を控えましょう
    ・肉の脂身
    ・肉類の加工食品(ベーコン・ソーセージなど)
  3. 魚を多く摂る
    ・青魚に含まれるEPA・DHAには血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働き
    ・サバ・イワシなどの青魚
  4. 植物性タンパク質を多く摂る
    ・血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働き
    ・大豆製品
  5. 食物繊維を多く摂る
    ・腸管からコレステロールの吸収を抑えて、体外への排泄を促す作用
    ・野菜(人参・ごぼう・さつまいも・ブロッコリー)
    ・豆類(納豆・豆腐)
    ・海藻
    ・きのこ類
  6. ビタミンを多く摂取する
    ・LDLコレステロールの酸化により動脈硬化を引き起こす
    ・ビタミンはコレステロールの酸化を防ぐ
    ・ビタミンC (トマト・小松菜・イチゴ・レモン)
    ・ビタミンE (緑黄色野菜・ナッツ類)

管理栄養士による栄養指導

栄養カウンセリングを行い、個別の身体的状況・栄養状態に応じて栄養指導を行っております。事前予約制お気軽にお声掛け下さい。

運動療法

運動すると中性脂肪を減らし、HDLコレステロール(善玉)を増加させます。肥満や他の生活習慣病の予防にもなります。

軽く息がはずむ程度の有酸素運動を習慣にしましょう

  • ウォ―キング
  • スロージョギング(歩くような速さのジョギング)
  • サイクリング
  • 水泳

1日30分以上(連続でなくても可)週3回以上実施すると良いです

その他

  • 家事で体を動かす
  • 階段を使う

ここ水戸市では車がないと不便なので近くの買い物もついつい車を使いがちです。近い距離であれば歩いてみるなど日常生活で運動量を増やす工夫をしてみましょう。

運動するときの注意点

  • 合併症などがある場合は事前に医師に相談しましょう。
  • 体調がすぐれない時は無理して行わない。

禁煙

喫煙はLDLコレステロールを酸化させ血管壁のプラーク化(コレステロールなどが溜まり血管壁が肥厚する) させます。同時に血圧を上げて血管に大きな負担を与えます。喫煙することはもちろん、受動喫煙も避けましょう。

禁煙外来

当院では保険診療による禁煙治療を行っております(ニコチン依存症管理料を届け出)。医師のアドバイスを受けながら禁煙することができます。

月曜日・火曜日・金曜日・土曜日午前の院長の外来診療になります。

お気軽にお声掛けください。

薬物療法

脂質異常症の主な薬

分類 種類 作用
主にLDLコレステロールを減少させる薬 スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬) 肝臓でのコレステロールの合成を抑制する
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 小腸でのコレステロールの吸収を阻害する
陰イオン交換樹脂 腸内で胆汁酸と結合し、コレステロールの合成を抑制する
プロブコール LDLコレステロールの胆汁中への排泄を促進する
主にLDL中性脂肪を減少させる薬 フィブラート系薬 肝臓での中性脂肪の合成を抑制する
多価不飽和脂肪酸(EPA・DHA) 魚に多く含まれる脂肪酸で、中性脂肪値を下げる
ニコチン酸誘導体 ビタミンの一種で、肝臓での中性脂肪の合成を抑制する

ほとんど症状がなく薬の効果も血液検査の数字でしかわかりません。心筋梗塞や脳梗塞などを防ぐために、生活習慣の改善とともに医師の指示に従って服用を根気よく続けることが重要です。高い効果が現れれば、服薬を中止することもできる場合もあります。

ストレスの少ない生活を

過度のストレスはLDLコレステロールを増加させ、血圧も上げて動脈硬化を進行させます。心身ともにゆとりのある生活を送りましょう。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME