骨粗鬆症
骨粗鬆症(こつそそうそしょう)とは
骨粗鬆症とは骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。閉経後の女性に多い病気です。骨がもろくなると、つまずいて手をついたり、咳やくしゃみをしたなどの衝撃でも骨折してしまうことがあります。
健康な骨は絶えず新陳代謝を繰り返し、骨吸収(骨を壊す働き)と骨形成(骨を作る働き)のバランスがつり合っています。しかし、骨粗鬆症の骨では、骨吸収がどんどん進んで骨形成を上回ってしまい、骨がスカスカでもろくなるのです。
体に必要なカルシウムの99%は骨に蓄えられており、残りの1%は血液中に含まれています。血液中のカルシウムは、全身の機能を正常に保つ重要な働きをしています。この血液中のカルシウムが不足してしまうと、骨からカルシウムが溶け出して不足分を補おうとします。すると、骨の量が減ってしまい、骨粗鬆症につながるのです。
骨粗鬆症は自覚症状がないため、定期的に骨密度の検査を受けるなど、日頃から意識してチェックすることが大切です。
骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症は次のように分けられます。
原発性骨粗鬆症
閉経や加齢、生活習慣などが原因のもので、骨粗鬆症のほとんどは原発性です。
- 加齢
- 閉経による女性ホルモンの低下
- 極端なダイエット
- 小柄・痩せている人
- 喫煙
- 運動不足
- 過度な飲酒
- 偏った食生活
続発性骨粗鬆症
骨に悪影響を与える病気や薬の服用が原因で引き起こされる骨粗鬆症です。
- 副甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患
- 関節リウマチ
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
- 動脈硬化
- 慢性閉塞性肺疾患
- ステロイド薬の長期服用
骨粗鬆症の症状
- 以前より身長が縮んだ
- 背中や腰の痛みがある
- 姿勢が悪かったり、背中や腰が曲がってきた
- 仰向けに寝ると背中が痛い
- 些細なことで骨折した
- お腹がすぐにいっぱいになる
- 息切れしやすい
- 以前着ていた服の身丈が合わなくなった
- 外出がつらい
- 洗濯物を干すのがつらい
1つでも当てはまれば、骨粗鬆症の可能性があります。一度、ご相談下さい。
骨粗鬆症で骨折しやすい部位
- 背中(脊椎椎体)
- 手首(橈骨遠位端)
- 腕の付け根(上腕骨近位部)
- 脚の付け根(大腿骨近位部)
骨粗鬆症の検査
問診
現在気になっている症状や、病歴、食事や運動、生活習慣に関することなどをお聞きします。
身長測定
若いときに比べてどのくらい縮んでいるかをみます。
骨密度検査
骨の中にカルシウムなどのミネラルがどの程度あるかを調べます。MD法と呼ばれる、手の関節の骨密度を測定する検査法です。
検査結果はすぐに分かり、説明を聞けます。
検査時間:5分ほど
レントゲン検査
主に背骨のレントゲン写真を撮り、骨折や変形の有無などを確認します。
血液・尿検査
血液中のカルシウムの値などを調べます。また、骨粗鬆症を引き起こす病気を発症していないか、現在の健康状態も調べます。
骨粗鬆症の治療
薬物療法
骨粗鬆症の薬には、「体内のカルシウム量を増やす薬」・「骨吸収を抑制する薬」・「骨の形成を促進する薬」などがあります。
薬の種類によって、飲むタイミングや間隔、注意する点がありますので、医師の指示に従い内服しましょう。
食事療法
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨の形成に必要な栄養素を積極的に摂りましょう。
カルシウム:摂取推奨量は、1日700~800mgです。
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
- 魚介類(小魚、干しエビ、しじみ)
- 野菜・海藻類(小松菜、チンゲン菜、乾燥ひじき、干しわかめ)
- 大豆製品(納豆、木綿豆腐)
ビタミンD
- 魚類(サンマ、サケ、カレイ、ブリ、メカジキ、イサキ、ウナギ)
- きのこ類(干ししいたけ、きくらげ)
ビタミンK
- 野菜類(小松菜、ほうれん草、ニラ、ブロッコリー、キャベツ)
- 納豆
※控えめにしたい食品
- スナック菓子、インスタント食品
- カフェインを多く含む飲料(コーヒー、紅茶)
- アルコール
運動療法
骨を強くするためには、運動をすることが大切です。転倒予防にもつながります。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで体内でも作られます。適度な日光浴は骨の健康に役立ちます。体の状態にあわせて、無理なく続けることが大切です。痛みがある方は、運動前に医師に相談してください。
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 水泳
- ゲートボール
- 体操
生活上の注意点
骨折の原因となる転倒予防はとても重要です。身の回りをチェックして、家の中の環境を見直してみましょう。
- 家の中の段差を小さくする。
- 寝室や廊下の足元を暗くしない。
- 床に物を置きっぱなしにしない。
- 滑りやすい靴下、スッリパをはかない。