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ぜんそくの治療

ぜんそく(喘息)とは

ぜんそく

一般的にぜんそくは気管支喘息(きかんしぜんそく)のことをさし、慢性的に気管支(または気道)の粘膜が炎症をおこす病気です。

この病気の患者さんの約半数が好酸球性の喘息と言われます。

好酸球は白血球の一種であり、アレルギーに関与する細胞と言われ、骨髄で造られ血液に乗って体内を回り、外部環境と組織を仕切る上皮細胞の近くに移動します。

喘息では、異物や外敵が人体に侵入すると、体を守ろうとして気道上皮に好酸球が増加、活性化し、細胞の膜を壊す働きを持つ顆粒、サイトカインなどが分泌され、炎症がおきます。

空気の通り道である気道に炎症が起き、悪化すると、気道粘膜が腫れ、気管支の周りの筋肉が縮み、痰が分泌され、気道が狭くなり呼吸困難に陥ります。

好酸球が関与するもの以外にも、好中球によるもの、好酸球と好中球の両方が関与するものなどあり、また、運動や薬剤が原因となって発症することがあります。

症状

  • 咳き込む、または喘鳴(ゼーゼーやヒューヒューと音を立て息苦しくなる状態)などの呼吸困難(発作)
  • のどの違和感
  • 胸の痛み など 

ぜんそく(喘息)の検査

胸部レントゲン

高熱が続く場合は肺炎を合併していることもあり、胸部X線検査を行うことがあります。

心電図

胸部痛などがある場合、心疾患がないか鑑別するため行います。

呼吸機能検査

スパイロメーターという肺活量などを測定する検査で、肺にどれだけ多くの空気を吸い込むことができ、どれだけ大量にすばやく吐き出せるか測定します。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎(肺線維症)、喘息などの診断や評価として行います。(所要時間5分)

パルスオキシメーター(経皮動脈酸素飽和度)

装置(プローブ)に、人差し指か中指を挟んで10秒程度で、皮膚を通して動脈血中の酸素の量を測定します。
正常 96%~98%

人間の体には、生きていくために食物からの栄養と酸素が不可欠です。

肺で取り込んだ酸素が血液内の赤血球のヘモグロビンと結合して心臓→全身へと運ばれます。

その過程で、細胞は食物の化学エネルギーと酸素を生命に必要なエネルギーに変換します。

慢性的な心臓や肺の疾患がなく、この数値が低値の場合、身体にとって重篤な状態になります。また、数値は状況判断を要しますので、医師に相談しましょう。

呼気NO検査

好酸球性気道炎症と言われる喘息の診断指標の1つとして有効な検査とされています。

好酸球は白血球の一種であり、アレルギーに関与する細胞と言われ、骨髄で造られ、血液に乗って体内を回り、外部環境と組織を仕切る上皮細胞の近くに移動します。

好酸球性の喘息では、異物や外敵が人体に侵入すると、体を守ろうとして気道上皮に好酸球が増加、活性化し、細胞の膜を壊す働きを持つ顆粒、サイトカインなどが分泌され、炎症がおきます。

これらの過程により、大量の一酸化窒素(NO)が産生されます。

この検査では、吐く息の中の一酸化窒素(NO)を測ることで気道の炎症の程度が分かります。

また喘息の治療では、吸入ステロイド薬で炎症を抑えることから、喘息治療中の評価にも有効となります。

ただし、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、好酸球性副鼻腔炎などでも上昇し、喘息発作時では肺機能が低下することから低値を示すこともあり、医師の総合的診断が必要です。

検査法は、専用測定器に息を一定の速度で吹き込む(12秒)ことで、測定します。

血液検査

喘息はアレルギー性の疾患ですので、白血球の一種である好酸球などが関与していることが多く、末梢血で上昇することが多いですが、いろいろな状況により判断します。

また、原因となるアレルゲンを知ることが大切ですので、ハウスダスト、ダニ、カビ、植物花粉、動物上皮、食物など、特定して調べる特異的IgE抗体検査などをします。

何がアレルゲンなのかわからずお困りの方は、39項目を調べられる『View39』(View39構成アレルゲン表 参照)の検査もありますので、医師にご相談ください。

※但し、必ずしもアレルゲン(原因)を特定できるとは限りません。それぞれの個人によってアレルゲンが異なっている場合や、アレルゲンがはっきりわからない場合もあります。

View39構成アレルゲン表
食餌系アレルゲン
卵白
オボムコイド
牛乳 ミルク
小麦 小麦
豆・穀・種実類 ピーナッツ
大豆
ソバ
ゴマ
甲殻類 エビ
カニ
果物 キウイ
リンゴ
バナナ
魚・肉類 マグロ
サケ
サバ
牛肉
鶏肉
豚肉
吸入系 その他のアレルゲン
室内塵 ヤケヒョウダニ
ハウスダスト1
動物 ネコ皮屑
イヌ皮屑
昆虫
ゴキブリ
樹木 スギ
ヒノキ
ハンノキ(属)
シラカンバ(属)
イネ科 カモガヤ
ブタクサ
ヨモギ
オオアワガエリ
空中真菌 アルテルナリア(ススカビ)
アスペルギルス(コウジカビ)
真菌その他 カンジダ
マラセチア(属)
ラテックス

ぜんそく(喘息)の治療

ぜんそくの治療については、気管支の炎症を主に吸入ステロイド薬をつかってコントロールしていくことが一般的です。また、症状によっては、気管支拡張作用のある注射をしたり、点滴をすることで炎症をおさえます。症状が改善しない場合は入院をして治療することもあります。

ぜんそくは、お子様の代表的な呼吸器疾患としても知られていますが、成人になって発症することもあります。ぜんそくの症状が疑われる場合は、ぜひ当院にご相談ください。

下記に喘息治療において、ご自分でできる対策をあげましたので参考にしてください。

アレルゲン(アレルギーの原因)対策

ダニ・昆虫・カビ対策
  • ダニはホコリや人のフケなどをえさとして繁殖するため、こまめに掃除をして清潔にする。
  • 寝具類は洗えるものは、まめに洗いよく干す。また、布団の上げ下ろしの前後は十分換気する。
  • カーテンは薄手の洗濯しやすいものまたはブラインドにする。
  • ソファーは革製やビニール製にする。クッションやぬいぐるみは、よく洗濯する。または、できれば置かない。
  • エアコンの清掃をまめに行う。
  • 室内に観葉植物や水槽を置かない。湿度が上昇してしまう。
  • 浴室・台所などの湿気が多いところは十分に換気をし、除湿剤や除湿器を使用するとよい。
  • 洗濯の部屋干しはなるべく避ける。
  • カーペットは湿気がこもるので避けた方がよい。
  • 十分に換気をする。
ペット

ペットがアレルゲンの場合は、飼わない、または室外が原則。

花粉
  • 花粉症があると喘息が悪化しやすいため、花粉を寄せ付けないよう、また室内に持ち込まないようにしましょう。
  • 外出時はマスク、眼鏡やゴーグルをする。
  • 衣類はツルツルしたナイロンやポリエステル製のものにする。
  • 花粉の時期は部屋の窓はできるだけ閉める。
  • 布団や洗濯物を外に干さない。

日本では、1年通していろいろな花粉が飛んでいます。それぞれ飛散する季節も異なるので注意が必要です。

スギ・ヒノキ花粉に関しては、2月上旬には関東でも広く花粉が飛散開始し、水戸では3月はスギがピーク、4月はヒノキがピークとなっております。

喘息の人の80%前後にアレルギー性鼻炎(花粉症)の合併がみられます。

喘息は、下気道(気管、気管支、細気管支)に炎症が起こり、鼻炎は上気道(鼻からのど、気管の入口まで)に炎症が起こる病気で、同じ気道に起こる炎症ですので、喘息と鼻炎は影響し合うと言われています。

花粉症でお悩みの方も当院に是非ご相談ください。

アレルゲン以外での悪化防止

禁煙
  • たばこは呼吸機能を低下させ喘息を悪化させるため、喫煙・受動喫煙をさけましょう。当院では、禁煙外来を行っております。本人の禁煙に対する強い決心が必要ですが、医療チームがあなたをサポートします。禁煙治療は一定の条件を満たした喫煙者なら、どなたでも受けることができます。まずはお電話でお気軽にご相談ください。
感染予防
  • かぜや肺炎などに感染すると喘息が悪化するので、感染予防を心がけましょう。
肥満対策
  • 内臓脂肪の含まれる脂肪細胞から喘息を悪化させる物質が出たり、気管支周辺の脂肪細胞の隙間に炎症を引き起こす細胞が集まるなど、喘息を悪化させるので体重コントロールしましょう。

    BMI(肥満度の指標)=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
    25以上:肥満
    18.5以上25未満:標準
    18.5未満:痩せ型
気候変化
  • 台風の前など、気圧や気温の急激な変化で喘息が悪化するので、気象の変化に注意しましょう。
大気汚染
  • PM2.5や交通量の多い場所や工業地帯など大気汚染が考えられる場所はなるべく避け、外出時にはマスクやゴーグルを着用するなど注意しましょう。
ストレス
  • ストレスを感じることで体内のマスト細胞などから炎症物質が出るため、喘息が悪化すると言われています。趣味やスポーツなどでストレス解消を図りましょう。
アルコール
  • アルコールに弱い方は、気管支の粘膜も充血してむくむなど、喘息の症状が悪化する場合があります。無理な飲酒は控えましょう。
喘息以外の治療に使う薬の注意
  • 喘息以外の病気で病院や歯科、薬局にかかる場合は、必ず喘息であることを伝えましょう。薬によっては喘息発作が起こったり、高血圧や緑内障の治療薬で「β遮断薬」は気管支を収縮させ喘息を悪化させるので、喘息の方には使用しません。
運動後の喘息発作
  • 運動後によく発作が出る方は運動誘発喘息の可能性があります。冷たい空気や乾燥した空気を吸うと起こしやすく、長期に薬を服用してコントロールする必要があります。準備運動をしっかりし、マスクを着用して運動することも効果的とされています。

喘息を悪化させてしまう病気

アレルギー性鼻炎(花粉症)

アレルギー性鼻炎(花粉症)も喘息を悪化させますが、副鼻腔炎についても注意が必要です。副鼻腔炎は、副鼻腔に炎症が起こり膿や分泌物がたまり、鼻づまり、ねばりのある鼻水、集中力の低下、頭痛、嗅覚低下(食事の匂いがわからないなど)、鼻水が喉にまわる後鼻漏や副鼻腔の粘膜にポリープ(鼻茸)ができることが多いなどの特徴があります。喘息と合併すると、治りにくいので注意が必要となります。

アレルギー性鼻炎(花粉症)

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

長期間の喫煙が原因で肺に炎症が起き、酸素と二酸化炭素を交換する役目の肺胞が壊れ、呼吸機能が低下する疾患です。喘息と合併する頻度が高く喘息を悪化させてしまうので、過去に喫煙していた、または現在喫煙している、坂道を上ったり、急に動くと息苦しい、咳や痰が多くなかなか治らないなどありましたら、医師に相談しましょう。

呼吸器内科でご相談を希望の方は、院長外来(月曜日、火曜日、金曜日、土曜日)もしくは榊原先生の外来(水曜日)にお越しください。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

最後に…

症状がなくても喘息患者さんの気道の中では炎症が続いています。また、症状がないと思っても、軽い発作が起きている場合があります。喘息は継続した治療が必要となりますので、必ず薬を切らさず、定期的に通院することが必要です。

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